刀の作られ方(研ぎ)

日本刀は研師(とぎし)によって刀身を研ぎ澄まされることで、芸術的価値を持った美しい姿態を現します。研ぎは、主に下地砥ぎ(したじとぎ)と仕上研ぎ(しあげとぎ)に分かれており、下地研ぎに用いられる砥石には6種類あります。「伊予砥(いよど)」は、伊予国(愛媛県)松山から産出された約400バンの砥石です。「バン」という単位は聞き慣れませんが、目の粗さを示す単位で、数字が小さいほど目が粗くなります。「備水砥(びんすいど)」は、熊本県天草地方から産出され、約400バン。「改正砥(かいせいど)」は、山形県より産出、約600バン。「名倉砥(なぐらど)」は、愛知県南設楽郡から産出、約800~1200バン。「細名倉
砥(ほそなぐらど)」は、同じく愛知県南設楽郡より産出、約1500バン~2000バン。「内曇砥(うちぐもりど)」は、京都より産出、約4000バン~6000バン。それぞれ色味も異なります。

これら目の粗さの異なる砥石を、日本刀の質によって使い分けて研いでゆき、下地研ぎが終われば仕上研ぎに移行します。仕上研ぎに用いられる砥石には2種類あり、「刃艶砥(はづやど)」、これは良質な内曇砥を薄く裂き、更に小さく砕いて作られたものです。裏には吉野紙や漆(うるし)などで裏打ちして用います。
「地艶砥(じづやど)」は、京都から産出される鳴滝砥(なるたきど)を薄く割り、更に指先で1mm角程度にまで細かく砕いて使います。

仕上研ぎを経たのち、拭い(ぬぐい)の工程へ移行します。砥石で研ぐことで艶が出ますが、更に日本刀独特の光沢を出すために行われます。大体においては金肌拭い(かなはだぬぐい)という方法が用いられますが、これは日本刀などの鍛錬のときにできる金肌(酸化鉄)を長時間焼き、微粉末にしたものを丁子油と混ぜ合わせ、更に吉野紙で濾したものを使用します。

次に、刃の部分を白く美しく仕上げる作業に取り掛かります。これを刃取り(はどり)と言います。ここで用いる砥石は刃艶砥で、内曇砥の研汁をつけて親指で軽くおさえ込むように、刃文の形状に沿って研磨します。

この後更に、黒い光沢を出すための磨きの工程を経て、横手の位置を決め、最後の工程である帽子の研ぎに進みます。この研ぎを帽子の「なるめ」と呼びます。最も良質な刃艶砥が貼られたなるめ台を使い、横手筋を崩すことのないようにして帽子を研ぎ、化粧磨きをして仕上げます。